冬期講習で実力完成をはかるために② すぐに学習できる環境づくり

冬期講習を受講する受験生も多いことだと思う。
しかし、冬期講習を受講した後の学習を考えて事前に準備をしている受験生は意外にも少ない。実力完成期にあたるこの時期の講習を「受けっぱなし」にしないためには、講習受講後にすぐに学習できる環境づくりを講習前(講習中)にしておくことが大切である。

以下は私の講座であるが、講習前及び講習中に行っておくとその後の学習がはかどり、より効果的な学習を進めることができると思う。是非行ってほしい。

土屋文明の日本史(近現代テーマ史 政治・経済・外交)
土屋文明の日本史(テーマ文化史 近現代中心)を受講する受験生

冬期講習は近現代までのテーマを網羅するためサクナビクス部分(まとめ部分)が詳細となり、書き込みを加える余白が少ない。それゆえ、授業を聞きながらテキストのサクナビクスにいきなり書き込みを加えると、字が汚くてあとから読めなくなったり、どこの説明だか分からなくなったりする。また、こうしたことがおきると清書をするだけで多くの時間が費やされ学習効率が悪く、結局清書もしないで学習をしようとするので学習効果も低減する。

そこで、まずテキストのサクナビクス箇所をA3に拡大コピーをしてそちらに書き込みを加えることをお勧めする。大きめのポストイット(付箋紙)を用意してサクナビクスに書き込めそうにない説明箇所をポストイットに書き込みサクナビクスの該当箇所に貼り付けておくのもいいだろう。要は、清書をしないでも学習にとりかかれるように、清書をするならできるだけ早く清書が完成するように準備しておくのである。

ただし、ここで注意しておかなければいけないことがある。書き込むスペースが広がったからといってなんでもかんでも授業で説明した箇所を書き取ろうとしないこと。書き込むべき内容は授業で指示をしたものにとどめ、他の部分は録音にとどめておいた方がいい。多くの受験生は心理的不安から授業で説明された全てを書き取らないと内容が理解できないと思っている。しかし、大筋での理解からその周辺に理解を広げていく方が暗記科目では学習効果が高いのである。最初の頃は細かい箇所が気になるが、録音した講義内容からその箇所をもう一度聞けばすぐに解決する。

土屋文明の日本史(正誤問題の克服〈後編:江戸時代~戦後まで〉)

この講座は正誤というハイレベルな出題形式に対する考え方や解法を演習問題を通じて解説する講座である。演習講座であるので他の講座と異なり各時代の受験日本史項目を詳細に解説することはしない。ゆえにサクナビクス(まとめ箇所P8〜33)のコピーや清書などを行う必要はない。演習講座であるので、できるできないに関わらず必ず問題を解いてから授業にのぞむことが大切である。但し、テキストの問題に正誤の判定を書き込んではいけない。それでは一度しかこの問題ができなくなってしまうではないか。また、ノートに解答だけを書いてはいけない。これでは正誤の答え合わせや復習の際に効率が悪い。

正誤問題の解答の書き込みを行う場所は実はテキストなのだが、問題に直接答え書き込むのではなくいつも見開きの右ページ下に解答を書き込むか、ポストイットに答えを書いて右下に貼っておくのである。こうすれば、復習するときに余計なものを出したり、開いたりしなくてもよくなる。

10月をすぎてから日本史の学習を本格的に行おうとする受験生も多いことだろう。学校行事や部活が終わった高校生などはこの時期から日本史を学習する者も多い。全国700を超える衛星予備校で私のレギュラー授業の講座である『詳説日本史講義①②』をフレックスサテライン等で受講している人も多いだろう。また、通史の復習と並行してセンター対策としてできるだけ早く正誤などの形式の対策を立てたいと考えている本科生やメイト生も少なくないはずだ。本講座およびテキストはそうした受験生に対しても十分な配慮がなされている。正誤判定に必要な語句の知識定着のためテキストの最後に語句のチェックリストを掲載してある。重要語句には網掛けがなされているので学習箇所は一目瞭然だ。日本史の通史の学習がまだ終わっていない受験生は通史の学習と並行してこのテキストの語句チェックを学習してほしい。

日本史講師 土屋文明