夏期講習で学力向上をめざせ! 講習受講後の学習の工夫②(全受講者)

夏期の長い休みも終わり、夏期講習を受講した受験生はその復習と2学期の準備を行っていると思う。また、夏期講習の追加受講などでまだ全てが受講し終わらない受験生もあせらず、がんばって講習講座の受講を終えてほしい。夏期を有効に使えなかった受験生も多いであろうが、どのような語句やテーマがどのような形式で出題されるのかを知ることができただけでも今後の受験勉強を効率化できる。暗記科目は復習こそ重要なのであるから、勝負は受講後にある。まだ夏期講習の復習が十分終わっていない受験生は奮起して学習に臨んでほしい。

 注意しなければいけないことは夏期までに学習しておかなければいけない事項(分野やテーマ)をまったく習得していないにもかかわらず、「夏が終わってしまったので受講しても意味がない」と自分にとって都合のいい理屈を作り出し、大学入試に必要不可欠な講座を受講しないという最大のリスクをこの時期に抱えないことである。諸事情があるとは思うが、大学受験に必要な日本史講座が夏期に受講できなかった人は10月までにはそれら講座を受講したほうがいいだろう。学校法人代々木ゼミナールもしくは代ゼミ提携予備校にはフレックスサテラインがある。これはライブで全国に放映したサテライン放送を衛星やインターネットを通じたオンデマンドで、いつでも受講できる。代ゼミの衛星授業を見ることができる提携予備校は全国で400を超えているので家や学校の近くの提携予備校をおおいに利用してほしい。
 また、このサイトには「受験生はなぜ失敗するのか」というページがある。受験生の受験リスクを高めるさまざまな状況がいかにして引き起こされるのかを詳細に記述したので是非とも読んでほしい。

 さて、テーマ史講座同様私の日本史講座を受講しただけでは学力向上どころか知識の定着すら望めない。このサイトでは合格者の流儀のページに難関私大に合格した受験生がどのように日本史学習を進めていったのかを掲載しているが、あらためてここで夏期講習講座をどう復習するかを指導しよう。

土屋文明の日本史(戦後史攻略)の受講後の学習
 レギュラー授業では11月にも行うが、残りの時間を考えたら不安だという気持ちで受講した人も多かったであろう。受講してあらためてこの時期に講義を受けて良かったと実感したのではないだろうか。外交・貿易(特に為替)、とくに経済にからまる箇所は相応な理解なくしては記述の解答すら難しい。まして論述などが出題されたらどのような結果となるかは容易に想像できるはずだ。ここには十分な時間をかけて復習してほしい。
また、レギュラー授業でも行う同じ範囲の時代の講義をコンプリート日本史の受講生や受講生の親御様からお金をいただいてまで受講してもらう講座であったので、レギュラー授業のように時系列を中心とした解説だけではなく、戦後で問われる全てのテーマや文化史分野、全ての出題形式を解説し問題演習によって知識の確認まで行った。過去の出題を踏まえ様々な角度から解説を加えたので、復習の方法に戸惑っている受験生も多いことと思う。そこで、以下のように受講後の学習を進めることが望ましい。

まずは戦後の時間軸に沿って時間をかけずに復習を行う。
ほとんどの受験生が学習したことのない時代であるので、ゆっくり時間をかけたいところであろうが、まずはサクナビで解説した順番に時間をかけずに最後までいっきに復習してほしい。最低5回はやること。戦後という時代を私がどのように説明したのかが大枠で理解できればいいのでまずはマーカーをひいて赤セルを用いた学習はしない。せいぜい指で語句を追う程度の確認にとどめること。なお、授業を録音した生徒は再生スピードを早くして、数回聞き返してもよい。
注意点はサクナビから関連づけた重要事項(サクナビプラス)や関連テーマを必ず関連する場所で関連づけて学習を行うこと。但しこれもざっと目を通す程度でよい。特に経済の箇所は理屈が分かるまでやるのではなく、読み物として「ふーん、そうなってたんだよな」程度の確認にとどめておくこと。

基本史料の確認は学習の都度行うこと。
史料はおおまかな確認ではなく、その都度きちんと学習すること。4,5回確認したら入試問題をベースとした史料問題を解いてみる。私の最新刊の史料参考書『眠れぬ夜の土屋の日本史 史料と解説&問題集SUPER PREMIUM』はこの全てが効率良く学習できるようにつくられている。まだ購入していない受験生はこの機会に是非とも購入して効率良く学習を進めてほしい。

サクナビで説明された順にテーマ史との関連性を強く意識しながら復習を行う。
「日本史の戦場 戦後史の完全攻略」の講座は時代の幅が狭いので時間軸とテーマ、分野を関連させ、さらに入試的切り口にも対応させたマトリクスな講義を行った。これは短期間で最大の効果を上げる講義である一方で、復習の際の学習の方向性を見失いやすい。そこで、最初の復習では時間軸にそった大枠の学習のみを行わせたわけである。
ここではいよいよ「点の取れる」学習段階へ進むわけだが、別に特別なことをやるわけではない。最初に行った大枠の学習(授業を思い出して、サクナビの順番にそのまま学習する)を理屈を理解しながら時間をかけて行うということである。
その際、 語句の関連性やテーマの関連性に目を向け、共通項目(時代の共通性、文化との共通性、テーマと時代別事項との共通性)を意識しながら行ってほしい。

学習方法は以下のとおりである。
① マーカーで赤や鉛筆でチェックした語句を消し、赤(緑)下敷きなど隠し、インプットの 学習を連続5回繰り返す。
 注意:
鉛筆でチェックした語句も後回しにせずに一緒に学習すること。
最初は語句を暗記することだけに集中すること。その語句が言えればいいので、連続5回は  語句を書かないこと。
サクナビに載っている語句のかなりの部分が隠れてしまう場合は、消していないサクナビの  語句や文章をヒントにその箇所を私がどのように解説していたか(講義展開)を思い出しなが  ら学習を行うこと。 録音した講義をスピードを上げて聞くのも有効である。
最初は語句を順番に言えるだけでOK。すぐ忘れてしまう語句もあるが、とにかく最初は機械  的に暗記すること。

② ①と同じ作業を繰り返すが、6回目は隠した語句の中で自信のない漢字を書いてそ の漢字が正しいかどうかを確認すること。
注意:

全部書こうと考えないで、難しそうな漢字や5回目暗記を繰り返した中でよく忘れて思い出せ なかったものだけを書くこと。
間違えた漢字は必ず、声に出しながら10回繰り返し書くこと。
6回目の記述の学習では、隠された語句がサクナビの講義の1グループの中でどのような  意味をもっ ていたのかを確認すること。

最後に始めて予備校で戦後史を始めとする日本史講座を受講した方へ。
受験リスク(大学に合格できない確率)は日を追うごとに高くなっている。「覚えればいい」暗記科目は、「覚えることに時間かがかかる」科目でもある。入試直前になってヤマをかけても、まるでこちらがヤマをかけていることが見透かされているように、まったくやっていない箇所が出題されるのである。だからこそできるだけ早く入試事項を「網羅する」必要があるのだ。しかし、今さら最初から授業を受けることにためらいがある受験生も多いであろう。また、授業を受けたくても9月、10月から始まる日本史講座などはないと諦めているかもしれない。
幸いにも代々木ゼミナールもしくは代ゼミサテライン予備校及び代ゼミ衛星授業提携校にはフレックスサテラインによる速習講座がある。これは生授業で全国に放映したサテライン放送をオンデマンドで、かつ一気に、いつでも受講できるというものだ。この受講方法を利用すれば現在の暗記科目の受験勉強での不利な状況を好転できる。この講座の私が担当する「コンプリート日本史①②」の受講を是非受講してほしい。いまさらと思う人も多いだろうが、あの時言われたとおりにしておけばという後悔の念をもつ受験生はそれ以上に多い。時間は元にもどせない。増やすこともできない。何を覚えていいのか分からなければ勉強を始める事すらできない。私は自己の利益や予備校の利益のために受験生を不安にさせ無駄なお金を使わせようとしているのではない。それは私の授業を受けた方ならきっと分かってもらえると思う。時代別に学習できる講座をできるだけ早く受講してほしい。

                                             日本史講師 土屋文明