「先んずれば人を制す」を経済価値で考える

現在手元にある100万円と1年後の100万円は同じ価値でしょうか。

答えはNOです。現時点で100万円手元にあれば、金利1%で銀行に定期預金として預ければ1年後には101万円になります。ということは、1年後100万円となるのに必要な現時点のお金は 990100円ということになりますよね。

将来得られる利益を現在価値に直す(割引く)ことを割引現在価値といい、株式や債権、不動産などでは一般的に使われています。また、割引く率(割引率)もそのリスクが高いほど大きくなります。

さて、これらを資格試験などの受験教育にあてはめてみると、おもしろい結論を導くことができます。同じ教育情報(教育内容)であれば、現時点で100万円で得るのと1年後の試験直前に100万円で得るのとでは明らかに価値が違うということです。

試験直前にお金を出して教育情報(内容)を購入しても絶対に試験には合格しませんよね。しかも100万円は戻ってはこないので、100万円そのものが無くなってしまう(0円となってしまう)のです。
これは割引率が100%ということで、つまり試験直前に100万円で得る情報(内容)の現在価値は、なんと「0円=無価値」だということになります。

本来、0円にしかならないものに喜んで100万を払う愚か者はいないはずが、現実には大勢存在します。

100万円の対価をそれに見合う試験の合格だと錯覚しているからです。

教育を受けて受験のための学習を行うということをお金に換算された価値になおし、時間の概念を入れると、いかに早く学習を始めて終える(情報内容を全て手に入れる)ことが価値を高め、自らを成功に導く可能性が高くなるかがよく分かります。

現役高校生が浪人生に比べて不利なのは実は学習時間が少ないからではありません。必要かつ十分な情報を、お金をかけて手に入れ、早くから学習を進めていないからなのです。

受験では情報内容をいち早く得て、時間をかけて身につけると価値は100万円以上となります。

そして、その逆は90万円ではありません。

0円=無価値なのです。

気がついて下さい。
割引率は時間とともに高くなっています。このコラムを読んでいる、その瞬間にもあなたもしくはあなたのご子息の割引率は高くなっているのです。

自分や自分の子供に教育投資をするのであれば、どこに(どこの予備校に)投資するのかだけを考えるのではなく、できるだけ早く投資することなのです。

正味現在価値が大きければ将来生み出す利益(成果)も大きいのです。

 

日本史講師 土屋文明