夏期講習で学力向上をめざせ! 講習受講後の学習の工夫(詳説受講者)

夏期講習が始まった。私のレギュラー授業(詳説日本史講義)を受講している生徒は知識を網状化、立体化させるためのテーマ史の講座を受講、もしくは受講の準備をしていると思う。日本史学習の段階において、比較的早い時期に知識の立体化まで確認できたことは必ず受験に有利にはたらくはずである。しかも、私はこのテーマ史講座を通じて出題形式に踏み込んだ解説まで加えて、マルチタクスな(同時並行的)学習が可能となるような講義を行っている。これは他予備校のテーマ史講座では見られない、私のテーマ史講座だけの大きな特徴である。

それ故、夏期講習講座を受講して安心してはダメだ。夏期の学習と、時代別学習を融合させてこそ真の学力向上がはかれるのである。私の講習を受講しただけでは学力向上どころか知識の定着すら望めない。しかし、レギュラー授業でおこなった日本史の復習と、夏期講習で行ったテーマ史学習をどのようなバランスで学習したらよいか悩んでる受験生も多いことだろう。このサイトでは合格者の流儀のページに難関私大に合格した受験生がどのように日本史学習を進めていったのかを掲載しているが、あらためてここで本科生(メイト生)に夏期講習講座をどう復習するかを指導しよう。

なおこのお知らせページでは私のレギュラー授業の講座(詳説日本史講義①②)を受講している人の講習講座の復習方法を紹介する。

【局面を打開する日本史(政治・経済・外交のテーマ)の受講後の学習】
系図や図版、史料をテーマを軸にマルチタクスで確認していくこの講座は、知識の立体化にとどまらず、1学期に復習にもなったと思う。自分では漏れなく学習をやってたつもりが、テーマ史としてつながった時にずいぶんと抜け落ちていた箇所があったと気づいた人も多かったはずだ。また、時代別の学習が進んでいる人にとってはこの講座ではより実践的な演習へとつながる重要事項を総括しているものだと気がついたであろう。

(1) あくまでも時代別の学習を中心に学習を進めること。
時代別の学習(1学期のサクナビクス学習)はコア(核)となるものである。これをおろそかにしては先に進んではいけない。何度か時代別の学習を終えた生徒もいると思うが、江戸時代などはまだ反復学習が足りないはずだ。先に行きたい気持ちを抑えて時代別のサクナビクス学習を徹底して行うこと。最初から江戸元禄時代まで、8割以上の正答率で10回以上は確認すること。その際の注意点は時代別学習を行う前に、夏期のテーマ史ではでてきたが時代別のサクナビクスにはなかった語句を時代別のサクナビクスにも書いておくこと。こうしておけば、後でテーマ史学習に移行した際に新しい語句として覚え直さなくても済み、テーマ史学習を効率良く行うことができる。なお、今回、サクナビのグレードアップバージョン「サクナビクス」を第3講の外交史で採用し、講義を行なった。外交史を苦手としている受験生だけでなく、外交史を多角的に理解したい受験生は、この外交テーマ史だけは時代別と同時に学習しても全く学習に支障が生じないので、その都度確認しながら学習を進めてほしい。

(2) 次に系図や史料、正誤の基本的視点を中心にテーマ史中心の学習を進めること。
語句の関連性やテーマの関連性に目を向け、共通項目(時代の共通性、文化との共通性、テーマとテーマ、テーマと時代別事項との共通性)を意識すること。要するに授業を思い出して、そのまま学習してほしいということだ。リンク先のページはテキストに書き込んでいるのだから、それをたよりに授業を思い出し授業で進んでいった順序で勉強すること。

(3) 学習内容では系図はできるだけ書いて覚えるようにする。
マーカーをひいて赤セル(下敷き)で覚えるよりも系図は書いて覚えた方が知識の定着が早く、忘れにくい。面倒くさがらずに、書けるようになるまでは1日1回は書いて学習すること。

(4) 史料は講習テキストにある史料を内容も含めてテーマ史の該当事項に関わらせて何度も確認する。
史料は4,5回確認したら入試問題をベースとした史料問題を解いてみること。時代別ではその都度確認している史料もテーマでくくられたときに初めて入試的な感覚で史料に接することができるのである。なお、史料学習の際には私の最新刊の史料参考書「眠れぬ夜の土屋の日本史 史料と解説&問題集SUPER PREMIUM」を利用すること。私の参考書は時代別に分野やテーマを分けて史料を並べてあるので、いちいち史料を探す手間がなく、またテーマ史のテキストにも私の参考書のページ数が書いてあるので効率良く事後の学習が進めることができるだろう。

局面を打開する日本史(江戸時代までのテーマ別時代別文化史)の受講後の学習
文化史は理屈立てて理解しようとすると深みにはまって先に進めなくなってしまう。何よりも大学受験での文化史出題は理屈だった理解を前提とする問題は絶対に出題されない。だから、割り切って授業後の学習を機械的な語句の暗記を中心にした方が現在の入試の出題形式からすれば点数が取れる。 そこで、以下のように受講後の学習を進めることが望ましい。

(1) 
文化史はテーマ史、時代別。やりやすい方から学習を進めること。
レギュラー授業の受講生なら文化史は時代別に解説しているので、そちらで勉強を進めてきた人はテーマ史から学習を進めてほしい。しかし、文化史の勉強を後回しにしてしまった結果、夏から本格的に文化史をやることになった生徒もいると思う。そのような場合はテーマ史でも時代別でもやりやすい方から学習していくことを勧める。文化史を後回しにしてしまったのは文化史学習のしづらさが原因のはずだ。ならば、少しでもやりやすい方からやった方が学習を先に進めることができる。但し、片方だけをやるのではなく必ずテーマ史、時代別両方ともに学習すること。学習の際はまずは語句だけを中心に覚え、図版の確認はあとまわしにすること。

(2) 次に、該当する史料や図版を確認していくが、史料や図版の学習はまとめてやるのではなくて、その語句を学習する都度行うこと。
語句の学習を先に終わらせているのであるから、それほど時間はかからない。むしろ時間をかけないで、確認するスピードを意図的に速くして何度も確認すること。

(3) 最後に時代別(テーマ別)でも文化史の語句を確認すること。
試験ではその文化語句が何文化のものか分からないと解答できない問題がある。こうした問題を落す学習行為が日本史で点数を積み上げられない大きな原因なのだ。時代とテーマ、テーマと時代の関係を相互に確認→理解して、覚えることが知識を立体化させていくことなのである。面倒くさがらずに、必ず行ってほしい。

◆夏に文化史の講座を受講した生徒の学習傾向と、今後の受講講座に関して◆

夏期に文化史の講座を受講する生徒の多くは、日本史の学習を予定通り進められず、積み残したまま次の週の日本史の講義を受けている。とするならば、今後2学期の日本史学習も10月中旬から次第に遅れ始め、その結果として12月に終わる「戦後史」の復習が十分にできない可能性が高い。そこで、10月までに「局面を打開する日本史戦後史(現代史)の徹底整理を受講することをお勧めする。

局面を打開する日本史(戦後史〈現代史〉)の徹底整理講義内容
 ◆戦後の時代別解説(史料、正誤の視点を含む)
  ・戦後の民主化政策
  ・朝鮮戦争と日本の独立
  ・日本の国際社会の復帰
  ・日本の経済成長
 ◆戦後のテーマ(分野)別解説(史料、正誤の視点を含む)
  ・民主化政策とその矛盾
  ・戦後の経済復興と高度経済成長
  ・戦後の政党政治の展開
  ・安保・憲法・自衛隊
 ◆戦後の文化
 ◆問題演習とその解説
 ◆論述対策

                                               日本史講師 土屋文明